冨士大和(大宮東)

個性的フォームの高校生左腕

 個性的な投球フォームで三振奪取能力が高い左腕の冨士大和(大宮東)にも注目したい。右足を上げて、テークバックに入るとトップで左肘が落ちる。そのまま低い位置から左腕を振り抜く。肩、肘に大きな負担が掛かりそうな投法だが、故障したことは一度もないという。手元で伸びる直球は140キロ前半の球速表示より速く感じるため、打者のバットが空を切る。プロ志望届を出し、育成ドラフトでも入団する意向を示している。

「他の投手が同じ投げ方をしたら故障のリスクが高いですが、彼の体の使い方を考えると理にかなっているのでしょう。実際に故障したことがないと聞いていますし、プロでもこの投げ方をベースに力をつければいいと思います。野茂英雄さん、岡島秀樹さんは型破りな投球フォームで活躍しましたし、結果を残せば投球フォームに対する懐疑的な見方も消えていく。冨士もプロのステージで個性あふれるオンリーワンの投手になる可能性があります」(アマチュア野球を取材するスポーツ紙記者)

 ドラフト会議は24日に開催される。狭き門だが、1人でも多くの選手の笑顔が見られることを願うばかりだ。

(今川秀悟)

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