先発から抑えに転向して最多セーブのタイトルを確定した則本

 最終盤に失速して3年連続のBクラスが確定したが、収穫は多い。早川隆久、藤井聖が左腕では球団史上初の2ケタ勝利をマーク。2年目右腕の荘司康誠が1勝のみと伸び悩んだのは誤算だったが、高卒4年目右腕の内星龍、ドラフト1位左腕の古謝樹が先発ローテーションで登板を重ねることで力をつけた。野手では小郷裕哉が12球団唯一の開幕からフルイニング出場を続けている。辰己涼介、村林一輝、小深田大翔も一本立ちしてチームの核になった。

「チームを作り直すには3年必要」

 楽天を取材するメディア関係者は、昨年とチームを取り巻く空気の変化を口にする。

「安楽智大がチームメートへのパワハラ問題で退団するなど、チームが空中分解の危機を迎えた中で、今江監督はチーム全員を同じ方向に向かせることに苦心したと思います。大きな重圧が掛かる中で選手に前向きな言葉をかけ続ける一方で、浅村栄斗が打撃不振の時はスタメンから外し、田中将大も本来の状態に戻るまでファームで調整させるなど、結果が出なければ主力選手を特別扱いしなかった。選手たちは『今江さんを胴上げしたい』と口をそろえていました。チームの絆がより強固になったと感じましたね」

 楽天の球団OBも、今江監督の手腕を評価する。

「監督1年目で上出来でしょう。外から見ると、作戦面で代打や代走などもっと積極的に仕掛けた方がいいと思う場面がありましたが、最初からうまくいくほど甘い世界ではない。コーチ陣の刷新は必要だと思いますが、監督を代える必要はない。日本ハムが2位に躍進しましたが、新庄剛志監督も就任してから2年連続最下位と試行錯誤を続けていた。チームを作り直すには少なくとも3年の期間は必要です。監督をコロコロ変えたら強くならないことは球団の歴史が証明している。今江監督は指導者として有能なので、今年限りで退任するようだと他球団に流出する恐れがある。もったいないですよ」

過去にも短期の監督交代で波紋が

 楽天は過去にも監督交代が波紋を呼んだことがあった。平石洋介氏(現西武ヘッド兼打撃戦略コーチ)が、18年のシーズン途中から監督代行を務め、翌19年に生え抜きとして球団初の監督に就任。前年の最下位から3位に躍進してCS進出したが、契約満了で退任した。小技の精度、走塁意識の改革が改善できなかったことが、監督交代の理由に挙げられた。平石氏は新設された「2軍統括」のポストで打診を受けたが断り、ソフトバンクの1軍打撃兼野手総合コーチコーチに就任した。

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楽天だけじゃない7年間で7人の監督がいた球団は