中日は立浪和義監督が今季限りで退任し、次期監督として井上一樹2軍監督が新監督の就任要請を受諾することが報じられた。3年連続最下位という成績だが、育成の観点で見ると未来は暗くない。
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投手陣は高橋宏斗が絶対的エースに成長し、清水達也、松山晋也もセットアッパーとして一本立ち。野手陣は岡林勇希、細川成也が不動のレギュラーになり、石川昂弥、村松開人、田中幹也、福永裕基も確実に力をつけている。
その中で、覚醒が待たれる選手が根尾昂だ。今季は1軍に3試合登板で0勝1敗、防御率9.39。8月4日の広島戦で先発のチャンスを与えられたが、3回8安打6失点と打ち込まれた。伸び悩む根尾に対して、何度も議論になるのが「ポジション問題」だ。
大阪桐蔭では投打の二刀流で活躍し、ドラフトで4球団が1位競合の末、入団した中日では、野手で勝負することを決断した。だが、入団後、ポジションが定まらない。遊撃の定位置を目指したが外野にコンバートされ、再び遊撃に戻った。そして、22年途中から異例の投手転向。リリーバーとして同年は25試合登板で防御率3.41をマークすると、昨年は先発に転向、投球フォームのバランスを崩して制球難に苦しんだが、シーズン終盤に2試合登板で防御率0.71だった。今年は勝負の年だったがファーム暮らしが長く、ファームでは16試合登板で4勝5敗、防御率2.63。82回を投げて75三振と奪三振能力が高い一方で、39四死球と制球が定まらない登板が少なくなかった。
他球団のスコアラーはこう分析する。
「投手に本格的に転向して2年であることを考えると、まだまだ伸びしろは十分にあると感じます。キレのあるスライダーは1軍でも空振りを奪える球ですし、今年はシーズン途中から振り子のように左足を上下させる二段モーションに投球フォームを改造し、直球の球威が上がった。課題は良い球を投げる再現性ですね。根尾に限らず他の投手にもいえることですが、1軍で通用する投手は状態が悪い時に修正して抑える。今の根尾はまだまだ投げてみないと分からない。本人も分かっていると思いますけどね」