
作:笠木泉/細川洋平/山崎元晴 演出:西本由香(文学座) 出演:峯村リエ/大石継太/上村聡/森谷ふみ/笠木泉/山崎一
映画「いちご白書」の主題歌、懐かしい「サークル・ゲーム」が流れ、物語がすっと立ち上がる。
捜してほしいと手紙が出され、警察が呼ばれるのに、名前さえ思い出してもらえないミネムラさん。不器用な友だちをそっと支えるミネムラさん。結婚はしたのだが、連れ合いの連れ子の赤ちゃんの世話で眠れないミネムラさん。
主演峯村リエの柔らかな演技と相まって、多面的な姿が一人の人物に収斂され、ふむふむと観客は頷く。ミネムラさんの周りには常に人がいて、声をかけてくれる。そう、つらくても哀しくても、人間は他者とかかわらずには生きていけないのだ。
演目「ミネムラさん」は、いったいどれが本当の顔なのだろうと観客を悩ませることはない。サークル・ゲーム、人生はいろんな光を放ちながら連環する。
人には様々な顔がある。不可思議さを保ちつつ、どれもその人の実在なのだと納得させられる傑作だった。

作:笠木泉/細川洋平/山崎元晴 演出:西本由香(文学座) 出演:峯村リエ/大石継太/上村聡/森谷ふみ/笠木泉/山崎一
(文・延江 浩)
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