TOKYO FMのラジオマン・延江浩さんが音楽や映画、演劇とともに社会を語る連載「RADIO PAPA」。今回は劇壇ガルバ第6回公演「ミネムラさん」について。
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やじろべえのような、微妙かつ絶妙なバランスの味わいだった。主人公の心は風に吹かれ右に左に揺れる。それが人生だとでも言うように。
長年の友人、山崎一が旗揚げした演劇集団、劇壇ガルバの第6回公演「ミネムラさん」を見た(新宿シアタートップス)。
山崎が敬愛する宮沢章夫を彷彿とさせる、静かで透明で、寄る辺がなくて、捉えどころがなくて、でもときどき意表をつく鋭さと洞察がたまらない。これは中毒になる。
3人の劇作家、笠木泉、細川洋平、山崎元晴が、一人の女性を主人公に脚本を書き、それをワークショップで整えたという。
演出の西本由香はスタッフ間にヒエラルキーを作ることはせず、水平に主人公を造形したのだろう。日常を淡々と描くには、この演出手法が的確だった。