優勝を決め、こぶしを突き上げる阿部監督
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 2年連続BクラスからV奪回を飾った巨人。今年就任した阿部慎之助監督の手腕は高く評価されるべきだろう。戦前の下馬評は、阪神の連覇を予想する声が圧倒的に多かった。

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「名将である原辰徳前監督の後を継ぐのは、想像を絶する重圧が掛かったと思います。阿部監督には2軍監督時代の厳しいイメージがあり、『若手が委縮するのでは』と監督としての資質を疑問視する声があったのも事実です。でも、その懸念を見事に覆した。準備を含めて勝利に徹して打つべき手をきっちり打ち、勝負所でのベンチワークも冴えわたった。ベテランの起用法も非常に巧みでしたね」(スポーツ紙デスク)

 V奪回のキーマンとなったのが、菅野智之だった。今季は15勝3敗、防御率1.67。1人で貯金12を積み上げた。昨年は4勝8敗、防御率3.36と白星が伸びず、先発ローテーションを確約されない立場だったが、完全復活した。

「阿部監督は捕手目線で復活の道筋が見えていたのでしょう。昨年は菅野と一度もバッテリーを組まなかった小林誠司を全ての登板日でスタメン起用し、5月下旬から9月上旬まで、中6日で日曜日の登板に固定した。菅野はマウンド上で表情に出るので分かりやすい。配球に納得がいかないと首を振ってリズムが悪くなるが、小林とは阿吽の呼吸でどんどん投げ込んでくる。納得する配球で投げる球が増えれば、打ち取る確率が上がる。昨年投げていた球も決して悪かったわけではなかったですし、復活したのは必然だと思います」(セ・リーグ他球団の打撃コーチ)

 野手陣では、阿部監督は開幕前、三塁・坂本勇人、遊撃・門脇誠をレギュラーで起用する方針を掲げていたが、打撃の状態が上がらず、スタメンから外すことにもなった。坂本は6月下旬に再調整で登録抹消を余儀なくされた。誤算が続いたが、不測の事態にも臨機応変に対応した。岡本和真を一塁から三塁に回し、本職が捕手の大城卓三を一塁に起用。球団フロントの補強策も評価されるべきだろう。途中加入のエリエ・ヘルナンデス、ココ・モンテスが打線の起爆剤になったことも大きかった。

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原監督時代の一部のコーチの問題とは