原監督から引き継いだチームを、1年目で見事に優勝に導いた

感情的にならなくなった監督

 阿部監督はヘッドコーチという「中間管理職」を経験し、勝てる組織作りの構築へ頭を巡らしたことは間違いない。昨年10月に秋季練習が始動した際、「皆が悔しい思いをしたと思うので、僕も変わるし、皆も変わってほしい」と呼びかけたことが報じられた。

「阿部監督は本当に変わったと思います。選手がやるべきことをやらなかったり、気持ちの弱さが出たりした時は厳しい姿勢を示したが、積極的なプレーでミスが出た時は責めなかった。感情的にならず、グッとこらえていました。コーチ陣の助言にも積極的に耳を傾けていたので、練習中も監督が1人になる時が少なく、各管轄のコーチと意見交換し、選手たちと積極的にコミュニケーションを図っていました。首脳陣と選手たちの距離が良い意味で縮まりましたね。選手たちの顔つきもたくましくなりました。強い絆で結ばれた集団に生まれ変わったと思います」(前出のスポーツ紙記者)

 リーグ優勝を飾ったが、常勝軍団の構築にはまだ道半ばだ。山崎伊織、井上温大、横川凱、門脇誠、浅野翔吾はチームの核にならなければいけないし、西舘勇陽、赤星優志、堀田賢慎も能力の高さを考えれば物足りない。今年25試合出場にとどまった秋広優人は誰もが認める好素材だが、このまま伸び悩むようだと居場所がなくなってしまう。

 戦いはまだ続く。CS、日本シリーズを勝ち抜き、一気に日本一まで上り詰めるか。その資格は十分に備えているチームだ。

(今川秀悟)

暮らしとモノ班 for promotion
ヒッピー、ディスコ、パンク…70年代ファションのリバイバル熱が冷めない今