――2013年10月に酒に酔って乗車したタクシーで運転手に暴行し、逮捕された一件(その後に処分保留で釈放)がありました。ご自身の人生で大きな出来事だったと思います
なにも言い訳できないです。事件後に運転手の方へ謝罪に向かったら、記憶をなくしてああいう態度を取ってしまった自分に対して、第一声でこれからのことを心配していただいて。こちらが全面的に悪いのに、本当に申し訳なかったですし情けなかった。現役でプレーしていたときは一定の生活リズムでしたが、引退後はいろいろなお仕事をする中で生活が不規則になります。お酒の問題ではなく、さまざまな人が寄ってくる中で自分を律する判断ができていなかったことが良くなかったと思います。
「ゾノに渡してくれ」
――活動自粛期間はどのようなことを考えていましたか
たくさんの方にご迷惑を掛けましたし、離れていく方がたくさんいました。それは自分の責任です。その中でも仕事の穴埋めをしていただくなど、手を差し伸べてくれた方に救われました。ラモス瑠偉さんから、「収入に不安があるだろうからオレは(穴埋めの仕事のギャラを)受け取らないよ。ゾノ(前園)に渡してくれ」とマネジャーを通じてメッセージをいただいたときは涙が出ました。ヒデ(中田英寿)からもすぐに連絡が来ました。自分が逆の立場だったら同じことができたかと考えると……ありがたいですよね。
(鹿児島実業時代の)松沢(隆司)監督に電話したときは、「もう一回、やり直せ」と。高校時代もドリブルを相手に止められたときに「何回でもやり直せ。ミスをしても逃げるな」と監督に言われてきました。サッカーと事件を同じにしてはいけないし、その後仕事をいただけるか分からなかったけど、信頼を取り戻すためにやり直すしかないと考えていました。
――今も禁酒されているんですか
あの事件以来一滴も飲んでいません。もともとお酒が好きなわけじゃないんです。炭酸飲料のほうが好きですし。お酒の場の雰囲気が好きなだけで、若いときから自宅で飲んだことは一度もないです。ただ、お酒を飲まないことがえらいとは思っていません。「もう飲んでもいいんじゃない?」と言っていただくこともあるんですけど、我慢している感覚ではなく、飲む必要がないと思っています。