②統合、系列先で社長に就任
日本航空社長の鳥取三津子(24年就任)は85年活水女子短期大から東亜国内航空にキャビンアテンダント(CA)として入社。同社はのちに日本エアシステムと社名が変わり、02年に日本航空に統合される。鳥取は客室安全推進部長、代表取締役専務執行役員を経て同社トップとなる。女性初、CA初、日本航空以外の出身初と初めてづくしだった。
ダイハツ工業社長の井上雅宏(24年就任)は同志社大卒業後、トヨタ自動車に入社し海外で事業を進めたのち、海外企画部グループ長、ブラジルトヨタ会長、アルゼンチントヨタ会長などを歴任した。16年、ダイハツはトヨタの子会社として再出発している。
③転職、天下り先で社長に就任
ゆうちょ銀行社長の笠間貴之(24年就任)は、早稲田大卒業後、日本長期信用銀行(現SBI新生銀行)、興銀証券(現みずほ証券)、ゴールドマン・サックス証券に勤務した後、15年にゆうちょ銀行に入社した。
ロッテホールディングス社長の玉塚元一(21年就任)は慶應義塾大卒業後、旭硝子(現AGC)、日本IBMを経て、02年に「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング社長に就任した。その後、14年にローソン社長、17年にはハーツユナイテッドグループ(現デジタルハーツホールディングス)の社長を務めていた。
④新卒で就職後、会社を起こす
ディー・エヌ・エー会長、横浜DeNAベイスターズオーナーの南場智子は津田塾大卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社を経て、99年にディー・エヌ・エーを設立した。
楽天会長兼社長の三木谷浩史は一橋大を卒業し日本興業銀行(現みずほ銀行)を経て97年に楽天グループの前身であるエム・ディー・エムを起業した。サイバーエージェント社長の藤田晋は青山学院大出身で人材派遣会社勤務後、会社を起こしている。
フェイスブックジャパン代表取締役の味澤将宏は立命館大出身。日本マイクロソフト、ツイッタージャパンなどを経て、20年に現職に就いた。
⑤学生時代に起業し、社長になる
06年、早稲田大1年の村上太一はリブセンスを設立し、求人情報サイトを運営。24年1〜3月期の売上高は前年同期比21・3%増、15億6800万円となっており好調を維持している。
15年には関西大3年の駒下純兵がラブグラフを立ち上げた。カップル・夫婦・家族の旅行などに同行し写真撮影を行うウェブサービス「Lovegraph」を運営している。
15年、立命館大4年の金村容典はフラミンゴを創業し、外国語講師の検索、予約ができるアプリサービスを運営している。
⑥創業者一族が社長に就任
会社名がそのまま社長(会長)の名前という場合、創業者から引き継がれたケースがよく見られる。
もっとも有名なのがトヨタ自動車であろう。11代目社長の豊田章男(09~23年)はトヨタグループ創始者である豊田佐吉のひ孫にあたる。豊田章男は慶應義塾大出身で、現在は会長職に就いている。
河合楽器製作所社長の河合健太郎(24年就任)は、創業者の河合小市から数えて4代目だ。神戸大出身で前社長の次女の夫である。
ホッピービバレッジ社長の石渡美奈(10年就任)は祖父、父に次いで3代目の経営者となる。立教大卒業後、日清製粉や広告会社での勤務などを経て父の仕事を手伝うようになった。
社長になりたい。そんな夢を抱く高校生にとって社長出身ランキングは参考になる。そして、社長になる経緯、経歴もみてほしい。これからの生き方にヒントを与えてくれるかもしれない。
(本文中敬称略、肩書きは2024年9月現在)
(文・小林哲夫)
※アエラムック「就職力で選ぶ大学2025」(朝日新聞出版)より