Netflixではランキングのデータは公開されているが、視聴者の数や属性に関する詳しいデータは、作り手である佐久間氏にも非公開にされているのだという。

あえてデータを見ない理由

 一方、彼が自ら手がけるYouTubeチャンネル「佐久間宣行のNOBROCK TV」「BSノブロック~新橋ヘロヘロ団~」では、YouTubeの「アナリティクス」という機能で視聴者に関する詳細なデータを見ることができる。それを参考にして視聴者数を増やすための方法を研究するという道もあるのだが、佐久間氏はあえてそれをやっていない。

「全部のデータが見られる状態ではあるんだけど、見ないようにしています。アナリティクスを見る人は別にいるんだけど、僕自身はあんまり見ない。マーケティング的な気持ちもある人間なので、見てしまうとどうしてもそこに寄っていってしまう。経験上それはあんまり良くないっていうのがあるんですよね」

 YouTuberと呼ばれる人たちは、登録者数を増やし、再生回数を伸ばすために徹底したマーケティングを行う。しかし、佐久間氏のYouTubeチャンネルは初めから目指すものが違っていた。

「YouTubeを始めた理由としては、テレビって不便だな、っていうのがあって。テレビはまだ面白いんだけど、不便だから見られていないっていうのがあると思うんですよ。だから、テレビの作り方でYouTubeをやってみて、不便じゃなければもっと見てもらえるんじゃないかな、っていうのがあったんですよね。

 あと、『ゴッドタン』(テレビ東京系)をやっていて思うんですけど、昔はそこで面白い人を見つけたら世間にも届いている感じがあったんです。でも、今はテレビの深夜番組ってパワーを失っているから、『水曜日のダウンタウン』(TBS系)ぐらい良い時間帯じゃないと発掘までいかないんですよね。YouTubeならそれができるんじゃないかなと思ってやってみたら、実際にYouTubeから売れる人が出てきたから、仮説は当たってたな、って感じです」

 佐久間氏のYouTubeチャンネルでは、“罵倒芸”の才能を開花させたギャルタレントのみりちゃむ(大木美里亜)、元AKB48アイドルでありながら、ボートレース好きで大喜利が強い福留光帆など、クセのある逸材が次々に発掘されている。

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