「あと、YouTubeはストックされるっていうのも大きいですね。Netflixもそうですけど、ストックされてあとから遡れるっていうのが今の時代には合ってるんでしょうね。テレビは見逃し配信があっても1週間とかじゃないですか。それだと話題になる前に消えてしまうので、目先の視聴率を追っていかないといけなくなるんですね。それはそれで得意なディレクターもいるんですけど、僕は単純に得意じゃないな、というのもあって」

 佐久間氏は以前から、年齢を重ねると自分のセンスが通用しなくなってくるだろう、といった悲観論を語っていた。しかし、そんな彼は48歳になった今も、テレビとYouTubeをまたにかけて精力的に創作活動を続けている。その感性が古びていない理由は何なのか。

「それはたまたまですよ。映画とか演劇とか、40代のころまでに見まくってきたものが、たまたま自分のディレクターとしての寿命を延ばしてくれている感覚です。筋トレしてたからその分だけ動ける、っていうのに近い」

 そして、こんな側面も語った。

「あと、僕は今18歳の娘がいるんですけど、彼女にVTuberの面白さとか、流行りのアニメやYouTubeの情報とかを教えてもらって、この10年ぐらいずっと一緒に見てきたんですよ。そこでインプットをしていたから新しいものも嫌じゃない、っていう感じがあるのも大きいのかなと思ってますね」

 佐久間氏のように、新しいものに対する好奇心を持ち続けるためのコツのようなものはあるのだろうか。

「自分のアンテナ以外に信じるものを作るっていう感じですかね。僕は結構、SNS上の全然知らない人の意見とかを参考にして、映画を見に行ったりするんですよ。それを続けていると、いつかそれが仕事とかにもつながってくるんですよね。部活でバスケをやっていたときも、こんな練習、意味あるのかな、みたいなことをずっとやらされていて。試合のときにそれに意味があったんだ、っていうことに気付くことがあったりしたので。作品に触れたり現場に行ったりするのもそういうことなのかなと思います」

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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