その敬遠数で意外と知られていないのが、イチロー(マリナーズなど)の凄さだ。シーズン、そして通算記録ともに上位となっている選手を見るとホームランを量産した“長距離砲”たちが居並ぶが、イチローはその中でもひと際目立つ“安打製造機”。そんな中で、メジャー2年目だった2002年、シーズン歴代最多の262安打をマークした2004年、そして2009年と3度ア・リーグで最多の敬遠数を記録している。

 詳細を見ても、2002年は通算612本塁打で殿堂入りも果たしたジム・トーミ(当時インディアンス)と、30本塁打以上を11度記録したカルロス・デルガド(当時ブルージェイズ)の18個を大きく引き離す27個でトップ。2004年は通算569本塁打のラファエル・パルメイロ(当時オリオールズ)、同555本塁打のマニー・ラミレス(当時レッドソックス)の2人を抑え1位。2009年にはのちに45年ぶりの三冠王となるミゲル・カブレラ(当時タイガース)を上回り3度目の最多敬遠を記録している。

 通算記録でもレジェンド中のレジェンドたちの間に食い込む28位(181個)。イチローより下の順位に位置する選手たちを見ても、ピート・ローズ(レッズなど)、サミー・ソーサ(カブスなど)、マイク・ピアザ(ドジャースなど)、フランク・トーマス(ホワイトソックスなど)ら伝説的な強打者が数多く存在する。現役では、先述した通算記録で2位のプホルスや、カブレラよりは下ではあるが、トラウト、ジョーイ・ボット(レッズ)、フレディ・フリーマン(ドジャース)、ブライス・ハーパー(フィリーズ)といったスター選手が、このままケガなく現役を全うしても追いつかないような数字である。

 イチローがメジャーで長年在籍したマリナーズは強豪チームではなく、相手チームが警戒する打者が少なかったことが影響している可能性を否定することはできない。とはいえ、この数字からはイチローがここぞの場面で「最も対戦したくなかった打者」であるのは明白で、メジャーの投手たちの敬意の表れでもあるとも言えるだろう。

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日本が誇る大砲・松井秀喜の敬遠数は?