広島のチームカラーに合う
スポーツ紙デスクは、移籍先の候補として同一リーグの広島を挙げる。
「フロント主導で移籍が行われるとしても、監督と野球観が合うかは重要な要素です。ビシエドと相性が良いとイメージできるのが、広島の新井貴浩監督です。現役時代は対戦相手としてプレーしていましたし、ビシエドの良さを熟知している。ポジティブで前向きでありながら、気配りができる点が共通していて、性格も合うでしょう。もちろん、戦力としても期待が掛かります。得点力不足が課題のチームで、ビシエドが復活すれば戦力になる。レギュラーが確約される立場ではないですが、獲得する価値は十分にある」
広島は4年連続のBクラスから昨年は2位に躍進し、今年も巨人、阪神と優勝争いを繰り広げてきたが、9月に入って3勝11敗と大失速。16日のDeNA戦(マツダ)で2-11と大敗を喫し、自力優勝の可能性が消滅した。首位・巨人と5ゲーム差に突き放され、4位・DeNAが1ゲーム差に迫っている。ビシエド1人を獲得することで得点力不足は解決できないだろうが、一塁でスタメン出場のほか代打の切り札としても期待できる。助っ人外国人選手たちのまとめ役にも適任だ。グラウンド内外で与える影響力は大きい。
助っ人が中日でプレーした後、広島に移籍したケースは、過去にもあった。外野で球界屈指の強肩と勝負強い打撃で活躍したアレックス・オチョアは、03年から中日で4年間プレーすると、07年はレッドソックス3Aでプレーし、6月途中から広島に移籍。翌08年に142試合出場で打率.306、15本塁打、76打点の好成績をマークしている。また、来日通算.309と高いコンタクト能力を誇ったエクトル・ルナも、13年から中日で3年間プレーした後、16年に広島に移籍。外国人枠や故障の影響で67試合出場し、打率.272、5本塁打、34打点の成績を残した。
広島を取材していたスポーツ紙記者は、こう語る。
「アレックス、ルナは真面目な性格でフォア・ザ・チームに徹していました。ビシエドもファームで試合に出続けていたように、気持ちを切らすことなくどんな状況に置かれても自分のベストを尽くす。広島のチームカラーに合う選手と言えるでしょう。中日でナインに慕われていましたし、引退後も良い指導者になるでしょう」