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 最近の若手は電話に出ない。メール世代の彼らは電話の意味がよくわからない様子だが、職場で世代間ギャップを感じるシーンはこれだけではない。上の世代は若手とどう向き合えばいいのか。AERA 2024年9月23日号より。

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 電話が苦手な若者が増えている──。ここ数年、そんな話を耳にするようになった。関西地方で働く会社員女性(30)も「電話は苦手」で、できればメールですませたいタイプ。だが、昨年入社した後輩(23)とは「苦手」の度合いがまったく違うと感じている。

 ある時、隣の席で働く後輩の携帯に電話がかかってきた。後輩は携帯をチラリと見たものの、そのまま放置。着信が切れて十数秒後、かけ直してこう言った。

「すみません、取りそこねてしまって……」

 取りそこねたというよりは、あえて取らなかったように感じた。不思議に思って後輩に聞いてみると、こんな言葉が返ってきた。

「不意打ちの電話は緊張するから、一呼吸置いて気持ちを整えているんです」

 聞けば、自分が電話をかける時も、頭の中で入念にイメージトレーニングをしているという。AI電話自動対応・取り次ぎサービスを展開する「ソフツー」が昨年8月に実施した調査によると、20~30代の72.7%が電話に対して苦手意識を感じているという。この調査が発表された当時、SNSでは「電話恐怖症」という言葉が盛り上がり、「TELハラ」というワードまで飛び出した。

情報に頼りすぎない

 世代間ギャップの話題になりやすい「電話問題」。だが、アエラが8月に実施したオンラインアンケートでは、上の世代からも「電話嫌い」に共感する声が寄せられた。

「電話しているところを他の人に聞かれたくない」(45歳女性)、「メールが盛んになることはむしろウェルカム。電話はなくなっていいツールだと思います」(56歳男性)、「言い間違いや聞き間違いがなくなっていい」(53歳男性)など、電話よりメールが便利だと考えているのは、若い世代に限らないのだ。

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世代間ギャップは存在しない