なのに、なぜこれほどまでに「世代」が注目されるのか。
「そもそも世代間ギャップは存在しない」
と指摘するのは、『なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか』などの著書があるリクルートワークス研究所主任研究員の古屋星斗さんだ。
「世代間ギャップの根本には、コミュニケーション不足があります。相手のことがわからなくなるから、情報で補おうと『最近の若者は……』と世代論に飛びついてしまうんです」
長時間労働や頻繁な飲みニケーションで、上司と部下の密な関係性を築いた昭和時代。だが、13年には「ブラック企業」が流行語大賞にノミネートされ、15年には若者雇用促進法が施行。19年には時間外労働の上限規制などを定めた働き方改革関連法、20年にはパワハラ防止法も施行された。職場を取り巻く環境は大きく変わり、コミュニケーションのあり方も変化した。
「同じ釜の飯を食べることでなんとなく互いに会話ができていたという前提がないので、それに代わる組織的な支援が必要です。そして、『若い世代は自分とは違う』と思い込むのではなく、わかりあえるという前提でコミュニケーションをすることも大切です」(古屋さん)
(編集部・福井しほ)
※AERA 2024年9月23日号より抜粋