本連載の書籍化第5弾!『鴻上尚史のおっとどっこいほがらか人生相談』(朝日新聞出版)

【鴻上さんの答え】

 バンクスさん。そうですか。怒られてしまいましたか。親友さんは、本当に切羽詰まっているんでしょうねえ。パンクスさんが心配する気持ちはよく分かります。

 ただ、「一日だけでもベビーシッターなどどうか?」と提案したのはまずかったんじゃないかと僕は思います。

 子育てで苦労している親友さんは、そんなことはもう何万回も考えているだろうと思うからです。

 でも、そうしてないのは、理由があるからでしょう。

 すぐに浮かぶのは、夫や義理の両親の無理解や反対です。日本では、まだまだ「ベビーシッターを雇う」ということを理解しない人がいます。

「そんなものに頼るなんて」とか「母親失格」とか「子育ての要領が悪すぎる」なんていうレッテルを貼られる危険性があるからです。

 夫や義理の両親が直接責めなくても、自分で自分のことを「ベビーシッターに頼る私はダメだ」と一方的に責めてしまう人もいます。真面目だったり、責任感が強かったりする人に、この傾向があります。

 スーパーの惣菜や冷凍食品を食卓に並べる妻や嫁に対して、「手料理じゃない」ということを責める夫や義理の両親がいるでしょう。「料理をしていない」と自分を責めてしまう真面目な人もいますよね。それと同じですね。

 もちろん、経済的な理由で、ベビーシッターを頼めない人もいるでしょう。

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