※写真はイメージです。本文とは関係ありません(gettyimages)

 ですから、バンクスさんは、親友さんの「痛い所」を突いてしまったのじゃないかと思います。親友さんが、「ベビーシッターを頼みたい」と思っていればいるほど、そして親友さんが納得できない理由で止められていたり、「ベビーシッターを頼む自分はダメだ」と思っていたりすればするほど、親友さんは怒るのじゃないかと思うのです。

 さて、バンクスさん。「このまま絶縁になるべきなのでしょうか」と書かれてていますが、どんなに辛い子育てでも、ホッとできる時期は来ます。

 親友のお子さんは今、何歳なんでしょうか?長くても数年待てば、また話せる日が来ると思います。

 ですから、「絶縁」と早急に決めることはないでしょう。

 もし、それまで待てないと感じたら、「~したら」ではなく、「私にできること何かある?」と電話してみるのはどうでしょうか?

 「何もない」と言われたら、「分かった」と納得し、それでも電話を切る直前に「『美味しいスイーツが食べたい』でも『ただグチを聞いて欲しい』でも『マッサージをして欲しい』でもなんでも言ってね」と付け加えるのです。

 親友さんが、「じゃあ~をして欲しい」と言ってくれたら、そこからまた、二人の関係を始められると思います。

 もし、親友さんが何も言わなくても、電話する気持ちになれなくても大丈夫。子育てのしんどい時期には、必ず終わりがきます。その時まで、求められれば親友のレスキューになる(アドバイザーではなくてね)、そんな気持ちで接するのがいいと思います。

 どうですか、バンクスさん。

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鴻上尚史

鴻上尚史

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)/作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。94年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞。現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける。近著に『「空気」を読んでも従わない~生き苦しさからラクになる 』(岩波ジュニア新書)、『ドン・キホーテ走る』(論創社)、また本連載を書籍にした『鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』がある。Twitter(@KOKAMIShoji)も随時更新中

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