中日・斎藤綱記(左)と日本ハム・江越大賀(右)(写真提供・中日ドラゴンズ/北海道日本ハムファイターズ)
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 プロ野球のペナントレースも終盤戦となり、来季の編成も気になる時期となってきた。ここ数年は活躍できる外国人選手が減り、即効性のある補強としては交換トレードがより重要になってきているように見える。中でも過去3年間のトレードで大きな補強となった選手としては誰がいるのだろうか(成績は9月12日終了時点)。

【写真】過去3年のトレード選手 野手で最大のヒットと言えるのがこの選手!

 投手でまずトレードをきっかけに大きく飛躍した選手と言えば斎藤綱記(オリックス日本ハム中日)の名前が挙がる。一昨年のオフにオリックスから日本ハムに移籍し、昨年途中にはさらに中日へ移籍とわずか約半年の間に2度のトレードを経験。パ・リーグでは目立った活躍を見せていなかったが、中日では移籍直後からいきなり16試合連続無失点と快投。昨年は31試合に登板して2勝、11ホールド、防御率0.73という見事な成績を残した。

 今年は夏場に入って少し打ち込まれる試合もあり、7月には一度登録を抹消されたが、それでも自己最多となる48試合に登板。4勝、17ホールドをマークし、防御率も1.80と左のリリーフとして欠かせない存在となっている。オリックス時代から二軍ではセ・リーグ相手に好投しており、その相性の良さが上手く発揮されているという部分もあるが、ここまでの活躍を予想していたファンは少なかったのではないだろうか。今年で28歳とまだ若さもあるだけに、来年以降もブルペンを支える存在として期待がかかる。

 もう1人パ・リーグからセ・リーグへのトレードをきっかけにブレイクしたのが森原康平(楽天→DeNA)だ。一昨年の7月に移籍すると、昨シーズンの途中からクローザーに定着。今年もここまで50試合に登板し、防御率は2.66ながら24セーブをマークしている。山崎康晃がここ数年調子を落としていただけに、DeNAにとっては救世主的な存在と言えるだろう。

森原康平(写真:横浜DeNAベイスターズ提供)

 投手では斎藤、森原以外にも山本拓実(中日→日本ハム)、吉田輝星(日本ハム→オリックス)、泉圭輔(ソフトバンク巨人)の3人が存在感を発揮している。山本は昨シーズン途中に移籍。今年は中継ぎながら自己最多となる5勝をマークしている。昨年は1試合だけだが先発も経験しており、イニングをまたいで投げられるという意味でも貴重な存在だ。吉田と泉も昨シーズンは低迷していたが、今年はともにキャリアハイと言える成績を残している。3人ともポテンシャルの高さはありながらなかなか殻を破れずにいただけに、トレードが良いきっかけとなったことは間違いないだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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