郡司裕也(写真:北海道日本ハムファイターズ提供)

 野手で最大のヒットと言えるのが郡司裕也(中日日本ハム)である。中日では打撃には定評がありながら、捕手としての守備がネックとなりなかなか一軍定着を果たせずにいたが、日本ハム移籍をきっかけに野手に転向するとその才能が開花。今年は開幕からサードのレギュラーに定着すると106安打、11本塁打を放つ活躍を見せているのだ。ちなみに中日でプレーした4シーズンで(4年目はシーズン途中に移籍)、わずか24安打、0本塁打だったことを考えるとこの活躍は日本ハムにとって大きなプラスと言えるだろう。ちなみにこのトレードで中日から日本ハムに移籍した郡司、山本、日本ハムから中日に移籍した斎藤、宇佐見真吾は全員が一軍で戦力となっており、お互いにとって良いトレードだったと言えそうだ。

 ここまでは成功した例を挙げたが、もちろん全員が移籍先で活躍できているわけではない。トレードで他球団に移籍すればブレイクすると見られながらも苦しんでいる選手としては江越大賀(阪神→日本ハム)、広岡大志(巨人オリックス)などの名前が挙がる。ともにプロ入り直後からポテンシャルの高さに対する期待は大きく、トレードでブレイクするかと思われたが、ここまで一軍定着を果たせずにいる。特に江越は昨年は100試合に出場してチャンスも多かったが打率は1割台と低迷し、今年は二軍でも結果を残せずにいるだけに、かなり厳しい状況と言わざるを得ないだろう。

 他にも苦しい立場となっている選手はいるが、それでもトレードが選手にとって大きなチャンスであることは間違いない。今年はシーズン中のトレードが少なかっただけに、オフには積極的な動きを見せる球団が増えることを期待したい。(文・西尾典文)

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。
 

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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