これにより、純一郎氏は123票もの都道府県連票を獲得でき、その人気は全国的なものとなった。多くの都道府県連で「予備選」が行われ、純一郎氏の優勢が報じられた。永田町では「勝馬に乗る」ことが往々にしてあるため、議員票も純一郎氏に集まった。

 この度の総裁選でも告示前から進次郎氏の優勢が報じられており、有利な展開を見せるだろう。一方で自民党議員の間で不安もささやかれている。

 総裁選直後に衆議院を解散するまでは良いだろうが、同じ日に代表選が告示された立憲民主党代表選では、野田佳彦元首相が最有力視されている。果たして進次郎氏が首相として野田氏に対峙できるのだろうか。

 実際にそうした不安についての報道もある。麻生太郎副総裁は河野太郎デジタル相を支援しているが、栃木県関係で茂木敏充幹事長への支援を伝えた高橋克法参院議員に、「その選択は間違っていない」と述べたという。人気先行の進次郎氏や河野氏では百戦錬磨の野党に太刀打ちができないと踏んでいるのだ。

純一郎氏に仕えた秘書と言えば

 もっとも、進次郎氏の弁舌は巧みだ。6日の出馬表明会見で「知的レベル」について問う失礼な質問に対しても、不快感を示すことなく爽やかに対応した。また純一郎氏譲りのワンフレーズ・ポリティックスは、多くの国民を惹きつける。だがそれだけでこの複雑化した政治を乗り切れるわけではない。

 純一郎氏は、竹下内閣、宇野内閣、橋本内閣で厚生相を、宮沢改造内閣では郵政相も務めた。

「郵政民営化」を持論とし、政権発足当初から「聖域なき構造改革」「構造改革なくして景気回復なし」と特殊法人の民営化に取り組んだ。賛否はあるにせよ、純一郎氏のワンフレーズ・ポリティックスが支持されたのは、こうした裏付けが存在する。

 また純一郎氏には初当選時から秘書として仕えた「飯島勲」という参謀がいた。飯島氏は大手新聞やテレビなどのマスメディアのみならず、雑誌やスポーツ新聞の記者らと積極的に交流し、それは小泉人気の維持に大いに貢献した。

2013年5月、北京空港で報道陣に囲まれる飯島勲氏
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党内ではすでに「進次郎氏で大丈夫か」との声も