自民党総裁選が12日に告示される。連日のように候補者の出馬会見やインタビューなどが流れているが、何かと注目を浴びているのが小泉進次郎元環境相だ。世論人気は高いが、父・純一郎氏と比較され、経験不足を指摘されることも多い。純一郎氏も国民的な人気を背景に首相に上り詰めたが、進次郎氏はどうなのか。政治ジャーナリストの安積明子氏に聞いた。
【写真】小泉進次郎氏にはなくて父・純一郎氏にあったものとは 23年前の総裁選には「変人の母」と名参謀の姿
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12日告示・27日投開票の自民党総裁選は混戦模様で、史上最多の9人が出馬予定。その中で特に注目されているのが、小泉進次郎氏だ。父・純一郎氏は2001年4月24日の総裁選で「自民党をぶっ壊して政治経済の構造改革を行う」と主張し、大旋風を巻き起こして当選。第87、88、89代の首相を務めた。
02年9月には北朝鮮に電撃訪問し、拉致被害者の一部の帰国を実現、05年の「郵政選挙」では84議席増の296議席を獲得するなど、憲政史にその名を残している。純一郎氏の次男で09年の衆院選で初当選した進次郎氏は、早くから「将来の首相」との期待が寄せられた。
父譲りの「ワンフレーズ・ポリティックス」
「今の自民党に必要なのは、自民党の内向きのことばかりを見て、リーダーを決める選挙ではない。我々は国民のみなさんの方を見て、業界団体や既得権益が認める範囲内でしか、政策や改革が進められない自民党を変えていくために、ひとりでも多くのみなさんのお力を貸して下さい」
前日に出馬表明会見を行ったばかりの進次郎氏は9月7日、銀座4丁目交差点で声を張り上げた。短く区切るような言い回しに、「ワンフレーズ・ポリティックス」を貫いた純一郎氏にイメージを重ねる人は少なくない。
実際に、演説会場となった銀座4丁目交差点には、2000人ほどが集まったようだ。「銀座プレイス」の中で涼みながら演説を聞いていた人もいた。進次郎氏が演説を終えると、聴衆から拍手が沸き起こった。ただ、純一郎氏が01年の総裁選で当選した時と比べ、何かが足りない。