ヤクルト・西川遥輝(左)とDeNA・森唯斗(右)(写真提供・東京ヤクルトスワローズ/横浜DeNAベイスターズ)
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 プロ野球のペナントレースも終盤となり、来季に向けての話題も増える時期となった。既に今季限りでの引退を表明した選手も出てきているが、来季も契約を結ばないいわゆる“戦力外”となる選手についても徐々に明らかになってくる。ただその球団に残らなくても、他球団で現役を続行する選手がいることも確かだ。昨年オフに自由契約となりながら他球団で現役を続けている選手たちの現状はどうなっているのだろうか(成績は9月8日終了時点)。

【写真】苦しい立場となっている「崖っぷちベテラン」の2人がこちら

 まず存在感を示している選手として名前が挙がるのがともに阪神を自由契約となり、中日に入団した山本泰寛と板山祐太郎の2人だ。山本は開幕一軍入りを果たすと、内野ならどこでも守れるユーティリティ性を生かして度々試合に出場。5月10日の広島戦では2年ぶりとなる一軍でのホームランを放ち、8月18日の阪神戦、20日のDeNA戦では2試合連続で3安打もマークしている。代打でも16打数5安打、打率.313と結果を残しているのは立派だ。

 一方の板山も育成選手としての入団だったが、二軍で結果を残して5月5日には支配下登録。7月には2本のホームランを放つなどパンチ力のあるところを見せている。また外野手登録でありながら、主にセカンドとして出場しており、守備面でも度々好プレーを見せているのも印象的だ。二遊間がなかなか固定できてないチーム事情を考えると山本も板山も貴重な戦力であることは間違いなく、来季もチームに残る可能性は極めて高い。

 野手でもう1人目立つのが楽天を戦力外となった西川遥輝(ヤクルト)だ。昨シーズンはわずか35試合の出場で13安打とシーズンの大半を二軍で過ごしたが、今年は開幕から一軍に帯同し続け、既に95試合に出場。夏場以降は途中出場が増えているが、1番や2番を任されることも多く、ここまで64安打を放っている。打率は.250とそれほど高くないものの、出塁率.342はさすがであり、外野がなかなか固定できないチームにとってはありがたい存在だ。年齢的にも今年で32歳だけに、まだまだ一軍の戦力として期待できるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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