お父さんたちが一番楽しんでいる
司会を務めた藤沢市の「第一中学校おやじネットワーク」代表の沼上弦一郎さん(50)は、「おやじの会って『本当に必要なの』は、実はいろいろなところで耳にする永遠のテーマなんです」と言う。
「お母さん方からは、ちょっとやっかみというか、『おやじたちはイベントや飲み会をやって、楽しんでいるだけじゃないの』っていう話も伝わってくる。実際、学校で活動していると、子どもたちから『お父さんたちが一番楽しんでいるよね』って、よく言われる。でも、それはとても大切なことだと思います」(沼上さん)
文科省がバックアップ
第1回「全国おやじサミット」は2003年、香川県高松市で開催された。きっかけは、「他の地域のおやじの会がどんなことをやっているかを知りたかった」と、「さぬきおやじ連合」代表の早谷川悟さん(63)は振り返る。
その少し前、地元の小学校でPTA会長をしていたとき、運動会など学校行事を手伝ってくれる父親たちの姿が印象に残った。そんな父親たちの居場所として「おやじの会」を立ち上げた。
すると、他の地域でどんな活動が行われているか、気になった。「全国おやじサミット」を開催して、ネットワークをつくり、情報を集めることを思いついた。
「文部科学省に申し出たら、『ぜひやってください』と、男女共同参画の枠で250万円の予算をつけてくれた。びっくりしました」(早谷川さん)
サミットは懇親会が本番
おやじの会にはPTAのような、日本PTA全国協議会を頂点とする上意下達の組織はないので、インターネットで参加者を募集した。
「初めてのことだし、交通費や宿泊費は『手弁当』での参加なので、難しいかな、と思った。ところが全国から約150人も集まってくれました」(同)
今回で21回目となる全国おやじサミットは無事に閉会した。早谷川さんはほっとした表情で、こう語った。
「次はどうなるかいつも心配しているので、よかったです。さあ、サミットは閉会後の懇親会が本番です。おやじたちが本音をしゃべります。飲んだらどんどん。ははは」
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)