しかし、どういう理由にせよ、インフルエンサーが勝手に㏚を表記するようになると、消費者は、どれが本当の広告で、どれが口コミなのかいよいよ区別がつきにくい。インフルエンサーが、広告案件とはどういうものかをしっかりと認識すればいいと思うのだが。

 消費者庁表示対策課の担当者は、広告の定義について、

「広告とは、表記内容の決定について広告主側が関与したものを指します」

 と説明する。

広告の定義をインフルエンサーが認識している?

 たとえば、企業側と契約を交わし、企業側から指示でも、注文でも、お願いでも、インフルエンサーがつくる内容に少しでも企業が関わってくれば広告となるそうだ。その際、対価が発生しているか、いないかは関係ないという。

 つまり、企業側が広告料を払っていても、「インフルエンサーは広告主側から表記について何も言われていなければ、PRなどの表記をする必要はありません」(前出・消費者庁担当者)とのこと。

お金をは出すが、内容には一切口を出さない」という場合は広告にはならないわけだ。そんなケースはほぼあり得ないだろうが、理屈上はそうなる。

 逆に対価(お金以外でも)がなくても、仮に長年の付き合いがある企業の担当者から口頭で、「新製品が出たから名前だけでもお願い」などと言われてちょっとでも出せば、無報酬で善意だったとしてもそれは広告案件であり、明示しなければならないのだという。

 そのあたりをすべてのインフルエンサーが認識しているかどうか……。

 ちなみに、消費者庁がステマ規制について行政処分をした例では、今年6月、東京都大田区に内科診療所を設ける医療法人に対して行った措置命令がある。「Googleマップ」の口コミ欄で、インフルエンザのワクチン接種の割引を対価に、Googleマップの星の数を高評価の4〜5で投稿するよう求めていた。

 8月にはスポーツジムを運営する「RIZAP(ライザップ)」に対し措置命令を出した。同社が運営する低価格ジム「チョコザップ」について、同社は15人のインフルエンサーに対価を支払い、インスタグラムの投稿を依頼した。その投稿内容を、広告表記なしで自社のサイト上に掲載したことがステマ行為と認定された。

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小さく「㏚」だけでは消費者が認識しにくい