消費者庁が入る合同庁舎=東京・霞が関
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 SNSなどでインフルエンサーが商品紹介する内容の投稿に「#㏚」の文字。当然、企業が報酬を払っている広告だと思って見てしまうが、実は勝手に㏚をつけているだけ、というケースが増えているという。通常、広告案件はあまり見られないはずだが、なぜインフルエンサーはそんなことをするのだろうか。

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「規制の対象が去年から厳しくなって、何にPRをつければいいかわからなくなって……」

 フォロワー数が3万人を超える美容系インフルエンサーの30代女性は、昨年10月から自身が投稿するSNSの内容に気を付けるようになったというという。

 これまで週1〜2回ほど、新築のホテルや美容クリニックなどを㏚する案件を投稿してきた。それによって実際に利用する客がいれば、企業側から報酬が入ってくる成果報酬型の契約をしている。

複数の女性芸能人がステマに加担で大きな問題に

 女性がある日、使い勝手がいいと感じた化粧品の口コミを投稿しようとしたとき、「これ、『PR』を表記しなければいけないのでは」と感じたという。

 というのも、昨年10月に景品表示法が改正されたことで、消費者庁は「ステルスマーケティング(ステマ)」の規制に乗りだした。

 企業から広告料をもらうなり、企業側が何かしら関与して商品を紹介する投稿をしているのにもかかわらず、広告であることを隠していればステマになる。法改正前は、本来は「㏚」と表記すべきところを、ただの口コミのように見せかけるため、PR表記なしで宣伝してもらうステマが多発していた。複数の女性芸能人がステマに加担していたとして大きな問題になった。

 法改正後は、ステマが発覚した場合、広告主に対し、再発防止を求める措置命令が出されたり、刑事罰が科されたりする可能性がある。

 ところが、その余波は思わぬところに出ていた。

 前出の30代女性が語る。

「規制が厳しくなったということは聞いています。だからもしステマと判断されて企業様に迷惑をかけてはいけないと思って、とりあえずPR表記をつけておけばいいのかなと。企業様からの依頼や関与がなくても『これおすすめですよ!』と心から思って商品の口コミを投稿しても、結局は宣伝したことには変わりがないから」

 企業側はこうしたインフルエンサーの行動をどう捉えているのだろうか。

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「勝手に㏚」はインフルエンサーのアピール?