就業時間中の仮眠を推奨している企業もある。でも、この姿勢では…… photo iStock.com/maroke
この記事の写真をすべて見る

 日本が世界的に見ても「睡眠時間が短い国」だということや、睡眠不足がもたらす健康リスクについては、8月16日に公開した記事「睡眠負債」が日本人の生産性を下げている? 1日1時間を取り戻すのに「4日」という現実で詳報した。

 睡眠不足の影響で、昼間にどうしても眠くなってしまったとき、「仮眠」が効果的だということは知られているが、その仮眠も取り方次第で夜の睡眠に悪影響を与えてしまう。

 シリーズ累計145万部の「超基本」シリーズ最新刊で、睡眠研究の第一人者・柳沢正史氏が監修した『今さら聞けない 睡眠の超基本』によれば、仮眠の際に気を付けるべきことは3つ。本から引用して、紹介したい。

***

 昼間にどうしても眠いときは、3つのポイントを意識して仮眠(パワーナップ)をとるのがいい。あくまでも応急措置だが、リフレッシュ効果が期待できる。

 夜の睡眠に支障をきたさないために、注意してほしいことは3つ。「タイミング」と「体勢」、そして「時間」だ。それぞれについて、見ていこう。

「タイミング」とはつまり、いつ仮眠すればいいかということだ。正解は「午後2時まで」。午後2時以降に仮眠をすると、睡眠要求が一時的に満たされてしまう。結果として、それが夜更かしにつながり、次の日の朝は起きるのがつらくなって、日中のパフォーマンスが上がらないという負のループに陥ってしまいかねない。

昼寝用枕があれば、身体が痛くならない。耳栓やアイマスクがあれば、入眠もスムーズになる

 仮眠をとるときは、適切な「体勢」を確保することも重要だ。イスに座った状態で仮眠してもかまわないが、頭を支えることは心がけたい。昼寝用枕などを使うと、腕にかかる重みを分散させることができるので、より楽に眠ることができる。

「時間」は言うまでもなく、仮眠の長さのことだ。中程度の深さの睡眠状態にとどまっている「20分程度」がいいだろう。深い睡眠段階に入る前なので、軽い刺激でも起きることができる。逆に仮眠を30~40分以上とると、最も深いノンレム睡眠(深睡眠)に入って目覚めが悪くなり、かえって眠気が残る可能性があるという。

次のページ
カフェインとの付き合い方