※写真はイメージです。本文とは関係ありません(gettyimages)

 しまさん。診断を受けたメンタルクリニックでは、そういう「生活に関する話」はまったく出ませんでしたか?

 もし、診断だけ伝えられて、それ以上のことを何も言われなかったのなら、別のクリニックを訪ねることをお勧めします。

 そして、いろいろと質問するのがいいと思います。

 退職したと書かれていますから、今は無職ですか。「そもそも、この状態で、どんなタイプの仕事が向いているのでしょう?」「どういう仕事を選べばいいのでしょう?」という根本的な質問も重要だと思います。

 ちゃんと答えてくれるお医者さんと出会うまで時間がかかるなら、本やネット記事を探しましょう。

 世の中には、ADHDを個性として、毎日の生活や仕事をうまく続けている人は、たくさんいます。そういう人のアドバイスや記録は、本になったりネット記事になっています。

 その中には、しまさんが自分のことを「要領が悪く鈍臭い」と書いたと同じ「個性」の人がいるでしょう。

 そういう人が、どんな仕事について、どんなふうに仕事の問題に対処しているのか、どんなやり方で生活や仕事のストレスを減らしているのかを知ることは、しまさんの人生の重要な手がかりになると思います。

 自分の個性を生かして、ひとつひとつ問題に対処できるようになれば、自然と「自分を好きにな」っていくと思います。

 しまさん。どうですか。

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鴻上尚史

鴻上尚史

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)/作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。94年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞。現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける。近著に『「空気」を読んでも従わない~生き苦しさからラクになる 』(岩波ジュニア新書)、『ドン・キホーテ走る』(論創社)、また本連載を書籍にした『鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』がある。Twitter(@KOKAMIShoji)も随時更新中

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