鴻上尚史さん(撮影/写真映像部・小山幸佑)
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 ADHDとの診断を受け、自分に失望したという21歳女性。失望感や、社会への劣等感などから不意に涙が出てきてしまうという女性に、鴻上尚史が伝えた、「自分の個性を生かす」という言葉の意味とは。

【相談231】

 診断を受けたらADHDでした。要領の悪い自分が大嫌いです。どのようにしたら自分を好きになりADHDを気にせず生きられるでしょうか。(21歳 女性 しま)

 鴻上さん、こんにちは。

 私は子供の頃から要領が悪く鈍臭い自分が大嫌いでした。所謂機能不全家族で育ったせいで愛着障害なのだと思っていました。

 自分で言うのもなんですが愛嬌があるため、おっちょこちょいな、いじられキャラとして社会に溶け込んできましたが、漠然とした生きづらさに耐え兼ねて心身に不調を覚えて退職。メンタルクリニックにて発達プロモをうけたところ、注意型に特化したADHDとの診断を受けました。

 自らの特性がわかってホッとするかと思いきや、検査結果を聞かされたその日から自分でも驚くほど動揺してしまい、不意に涙が溢れてきます。酷い無力感に襲われ、自分への失望や社会への劣等感から、何もしたくない、消えてしまいたいと思ってしまい、こんな自分に戸惑っています。

 とはいえ、世の中には色々な特性の人がいて、皆それなりに自分と折り合いをつけていかなければいけないと頭ではわかっているつもりです。こんな私が少しでも自分を好きになり、ADHDであることを気にせず生きていけるようなアドバイスをいただければ幸いです。

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鴻上尚史

鴻上尚史

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)/作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。94年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞。現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける。近著に『「空気」を読んでも従わない~生き苦しさからラクになる 』(岩波ジュニア新書)、『ドン・キホーテ走る』(論創社)、また本連載を書籍にした『鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』がある。Twitter(@KOKAMIShoji)も随時更新中

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