本連載の書籍化第5弾!『鴻上尚史のおっとどっこいほがらか人生相談』(朝日新聞出版)

【鴻上さんのこたえ】

 しまさん。「注意型に特化したADHD」という診断を受けたのですね。メンタルクリニックでは、診断結果に対して、どんな「生き方のアドバイス」をもらいましたか?

 しまさんの相談に関して、僕が心配するのは、「ADHDであることを気にせず生きていけるようなアドバイスをいただければ」という部分です。

 僕は専門家ではないので無責任なことは言えませんが、「ADHDであること」は、「気にせず生きて」いくことではなくて、「ADHDであること」を、障害や欠点ではなく、特性、つまりは個性と考えて、対応した生き方を探すことが重要だと思うのです。

 僕には、車椅子で生活している知人もいれば、高次脳機能障害の知人もいます。

 それぞれの人が、自分の特性を理解して、毎日の生活を送っています。障害だと思って悩むのではなく、それが個性だと受け止めて、どうやってストレスなく毎日を過ごすか探っているのです。

 高次機能障害の知人は、仕事を円滑に行うために、スマホのカレンダー告知システムを使ったり、リマインドのアラーム機能を詳細に設定しています。

「忘れっぽい」とか「集中力が続かない」とか「ひとつのことに集中すると他が見えなくなる」というような「個性」を、いろんな方法でカバーしているのです。

 これは、自らの「障害」を「個性」に変える、生きる知恵、ライフハックですね。

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