生成AIは「使用禁止ではない」
青少年読書感想文全国コンクールを主催する全国学校図書館協議会の設楽敬一理事長は、「生成AIの使用を全面的に禁止しているわけではない」と言う。
そもそも、読書感想文を書くことと、コンクールに応募することは「別物」だという。
「多くの子どもたちは夏休みの宿題として読書感想文を書いていますが、感動した本について『ここが面白かったから読んでよ』と、メモを書いて友だちに渡したら、それは立派な読書感想文です。文章の感想を表現してほかの人に伝える力はとても重要です。その力を高めるためにチャレンジするのがコンクールです」(設楽理事長)
かつて中学校の教員を務めていた設楽理事長は、「まず、先生が生成AIを使いこなして、利点や欠点を見極めることが大切」と、生成AIとの共存を訴える。
「これまでは、読書感想文を書くための視点の指導は教員、小学生ならば親がヒントを与えていました。これからは、それに加えて生成AIも指導してくれるのかもしれません」(同)
積極的に活用すべき理由とは
前出の山田理事は、読書感想文に苦手意識があるのなら、むしろ「生成AIを積極的に利用すべき」という。
「たとえば、3行しか書けなかったら、それを生成AIに打ち込んで、『この続きは、どのように展開できますか』と尋ねてみる。AIに書いてもらった文章をお手本に、自分なりに変えていく、という方法もあるでしょう」(山田理事、以下同)
いずれにせよ、教員は読書感想文を書く目的を子どもたちに説明してほしいという。
「たとえば、視野が広がるなら、『感想文を読み合うことで、友だちのことを理解できたり、読んだこともないような本を読みたくなったりということもあります』と、説明してほしい」
そのうえで、生成AIについてこう話す。
「『生成AIを使って書いてもいいですが、それを正直に書いてください。そうした作文は、コンクールに出せないこともあります』と、子どもたちにルールを説明してあげればいいと思います」
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)