そろそろ夏休みも終わり――だけど、大変だ、宿題の「読書感想文」がまだ終わっていない! そんなピンチで頼られやすいのが「チャットGPT」などの生成AIだ。課題図書名を入力すると、すらすらと感想文を書いてくれる。学校側はさぞ、頭が痛いのではなかろうか。
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「AI使ったか」100%の判別は不可能
夏休みの宿題の定番、「読書感想文」も生成AIに手伝ってもらうのが当たり前になりつつある。
昨年の8月下旬、マーケティング支援会社のナイル(東京都品川区)は夏休みに宿題のあった10~20代に対して生成AIの活用実態についてアンケートを行った。すると、533人のうち、182人(34.1%)が「活用した」と回答した。AIを利用した回答者のうち、85.7%は「宿題がはかどった」と感じたという。
インターネット上で検索すれば、「チャットGPTを使った読書感想文の書き方」や、「読書感想文サポートアプリ」の紹介のほか、「絶対にバレない読書感想文を自動生成する方法」などが表示される。
提出された読書感想文が生成AIを使って書かれた可能性があるとすると、教員はどう対応すればいいのだろうか。
「まさか生成AIを使ってないだろうね」と、子どもを問い詰めるわけにもいくまい。生成AIで作成された文章かを判別するソフトウェアもあるが、判別率は100%ではない。つまり、読書感想文が生成AIを使ったかどうか、本当のところは本人以外、誰にもわからない。
保護者が書いても「不問」だったのに…
さぞかし、教員も頭が痛かろう。
そう考えて、公立小学校の現役教員で日本学級経営学会の山田洋一理事に尋ねると、意外な答えが返ってきた。「特に先生方は困ってはいないでしょう」というのだ。
山田理事は、普段から担任が子どもたちの文章を読んでいれば、その感想文がどのように書かれたものか、「ある程度、想像できる」という。
「生成AIがない時代から、『これは子どもが書いたのではなくて、親の作品でしょ』と、感じる読書感想文はありました。保護者が書いた疑いのある読書感想文は不問にされてきました。それなのに、なぜ生成AIだとダメなのか」