「アゴーン」は競争で、それぞれの資質が敵対関係になりつつひとつの境界の内部で争われる遊びをいう。大半のスポーツ競技はアゴーンの遊びにあたっている。昔の戦争も、たとえば関ケ原の一戦のように、一定の境界の中で雌雄を決したという意味ではアゴーン的だった。
「アレア」は、ラテン語でサイコロ遊びのことで、相手に勝つことより、見えない運とたわむれることを遊びにする。トランプやマージャンのようなゲームには、配られた“手”という運がふくまれるが、その“運”を加味してたのしむ遊びだ。自分でたのしむ占い遊びなどもアレアに入る。
次の「ミミクリー」は真似の遊びである。何かを模倣したり、転写しながら情報遊戯を楽しんでいく。子どもたちがノートに先生の似顔絵を描きたくなるのも、歌まねや動物のまねをしたくなるのもミミクリーだ。古代ギリシア・ローマでは「ミメーシス」と呼ばれていた。
四つ目の「イリンクス」はめまい、痙攣、トランス状態などをともなう遊びである。子どもたちがくるくると回転したくなったり、ジェットコースターやF1レースに人々が熱狂したりするのは、主にイリンクスにもとづいている。
これがカイヨワが分類した有名な四つの遊びだが、いずれもなかなか編集的であろう。あとで説明するが、これらの遊びには〈自己編集性〉という動きが顕著にあらわれている。