そして第4セットに入って石川、オポジットの西田有志がブロックに捕まり始めると、高橋が攻撃の主役となった。まさに高橋にはバレーボールのエッセンスがすべて詰まっていた。
彼らの海外での経験が昇華し、敗れてなお、日本のバレーは美しかった。だからこそ、あの試合をモノにしたかった。ただ、粘り腰のイタリアを見た時、向こうが一枚上手だったことは間違いない。では、何が足りなかったのか? 去年の時点でブラン監督は話していた。
「ブロック。日本はブロックの力が列強に比べてまだ足りない」
準々決勝のブロックポイントはイタリアが15に対し、日本が2。やはり高い壁は存在した。
日本が階段を上がるために必要なのは、ミドルブロッカーでも石川、高橋のように「ヨーロッパで必要とされる人材」が出てくることだろう。一朝一夕には出てこないことは承知している。しかし10年前、石川と高橋のような選手が登場するとは誰も想像していなかった。いつか、救世主が登場するかもしれない。(スポーツジャーナリスト・生島淳)
※AERA 2024年8月26日号より抜粋