報道関係者を含む選考委員は全会一致で杉浦監督を選び、市原監督を支持した者は一人もいなかった。「大会中、試合後の監督の談話で相手校をさんざんけなす放言、横柄な態度が各関係者から批判を浴びたのが災いしたようだ」(同年8月21日付・中日スポーツ)と報じられたように、行き過ぎた発言の数々が大会関係者の顰蹙を買った結果とみられる。

 市原監督はその後辞任。甲子園優勝監督であるにもかかわらず、以後、高校野球とかかわることはなかったという。

 勝利後のインタビューで「サービス」の発言が問題になったのが、85年の東洋大姫路・梅谷馨監督だ。

 春夏連続出場の優勝候補・東洋大姫路は、2回戦で立教(現立教新座)と対戦した。

 東洋大姫路は初回に打者一巡の猛攻で5点を先制するなど、一方的な試合展開となり、エース・豊田次郎(元オリックス)も8回に3ランを許したものの、6安打7奪三振完投の12対3で大勝した。

 試合後、梅谷監督は「あまり指示を出さずに伸び伸びとやらせたことが、久しぶりの快勝です」と、県大会と甲子園初戦で不振だった打線の爆発に目を細めた。

 ところが、終盤の3失点について聞かれると、「立教さんもあれだけの素晴らしい応援で盛り上がっていたんだ。まあ、3点ぐらいはあげてもいいでしょう。サービスということにしておきましょう」と冗談めかして答えた。

 相手の応援団にエールを贈っているので、悪気はなかったのだが、「サービス」は明らかに言い過ぎ。今なら「サービス」がトレンドワード入りし、あっという間にネット上で拡散される騒ぎになるところだ。

 比較的大らかな時代だった当時も、高野連などにファンの抗議が相次いだ。まさに口は禍の元だ。

 センバツ大会での問題発言で監督を辞任したあと、復帰嘆願署名により復帰、最後の夏で悲願の1勝を挙げたのが、開星・野々村直通監督だ。

 10年のセンバツ1回戦、前年秋の中国大会覇者・開星は、21世紀枠校の向陽に1対2で敗れた。

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