睡眠不足がたまると「睡眠負債」になる
国立精神・神経医療研究センターがこんな研究結果を公表している。普段から7時間半ほど眠っており、十分に眠れていると自覚がある学生に好きなだけ眠ってもらったところ、初日の睡眠時間は約10時間半。その後4日間の睡眠時間は長かったものの、徐々に落ち着き、8日目以降は約8時間半になった。この結果から、普段は睡眠時間が約1時間足りないこと、その分を補うのに約4日間かかったと推定される。
平日と休日の睡眠時間や睡眠中央時刻(就寝時刻と起床時刻の中間の時刻)に2時間以上の差がある場合も、慢性的な睡眠不足で「睡眠負債」がたまっている可能性が高い。身体は規則正しいリズムを好むため、不規則な睡眠パターンが生じると体内時計が乱れ、さらに睡眠の質が低下し、健康リスクが高まりまってしまう。
どうすれば、睡眠負債をためずに済むのか。
睡眠負債は一過性のものではなく、継続的な睡眠不足や睡眠の質の低下によって形成されるので、単に休日に多く眠るだけでは解消できない。起床時間を遅らせることができないなら、30分でいいから眠る時間を早める。休日に長く寝るならその分就寝時間も早くすると、睡眠中央時刻のズレによって生じる「社会的時差ぼけ」を防ぐことができる。
(構成 生活・文化編集部 上原千穂)