コバホークこと小林鷹之氏
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 自民党総裁選が9月に迫る。今のところ、正式に出馬表明した議員はいないが、お盆明けから動きが活発化してきそうだ。これまでとはちょっと異なる総裁選になるのでは、という期待が党内で高まっているという。キーワードは若手の台頭。無名に近い「コバホーク」こと小林鷹之前経済安全保障相(49)の名前が急浮上し、これに触発される形で小泉進次郎氏(43)への待望論が現実味を帯びてきた。若手にベテランも入り乱れての下克上の争いになりそうだ。

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 岸田首相の自民党総裁としての任期は9月30日まで。党の規程によって9月20日から29日までの間に議員投票が実施される。

 小林氏は自民党4期生。経歴はゴージャスだ。千葉県出身で、開成高校、東大を卒業後、1999年に財務省(当時は大蔵省)に入省した。財務省在職中に米ハーバードケネディ行政大学院に留学し、同大学院で公共政策学修士。2007年から10年まで、在米日本大使館にも書記官として出向していた経歴がある。絵に描いたようなエリート官僚だ。

 2012年の衆院選千葉2区で、自民党から出馬して初当選。以降、連続4回当選を決め、21年、岸田内閣発足時に、新設の経済安全保障担当相として初入閣した。「小林」と「鷹」(英語でホーク)を合わせてコバホークの愛称がある。

「『総裁にはコバホークがいいぞ』という話が出始めたのは今年5月ごろ。彼は閣僚経験はあるものの、国民的にはほとんど知られていなかったから、世間では 『コバホーク? WHO』という状態でした」

  そう振り返るのは政治ジャーナリストの角谷浩一氏。

「自民党が政治とカネの問題でボロボロになっている時だったから、元財務省キャリア官僚のフレッシュな存在が自民党にいるということをアピールし、希望を持たせるために名前が出てきたのかと思ったんです。コバホーク。なるほど、こりゃかっこいいじゃないかと思いました」(角谷氏)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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ついに進次郎氏の登場か