もうすぐ夏休み。終業式には“通知表”が渡されます。子どもたちは評定の数字に一喜一憂し、周りの友だちと比べて喜んだり、落ち込んだり、自慢したり、馬鹿にしてトラブルになったりすることもあるそう。大阪の公立小学校の現役教師・松下隼司先生が、通知表を渡す前に子どもたちに伝えていることについて教えてもらいました。

MENU 通知表の評定ってどういう意味? 通知表の2は、当たり前じゃない

通知表の評定ってどういう意味?

 大阪の公立小学校で教師をしている松下隼司と申します。教員歴は今年23年目で、2児の父です。

 通知表は、教科の評定が3段階(1~3)の学校と、5段階(1~5)の学校があります。学校によっては、評定がない場合もあります。

 わたしが勤める公立小学校は3段階評価をしていますが、子どもたちは通知表をもらったら、真っ先に各教科の評定の数を数えます。「3」の数を数えるのです。

「3」は、1番良い評定で、「よくできました」という意味です。
「2」は、次に良い評定で、「できました」という意味です。
「1」は、1番低い評定で、「がんばりましょう」という意味です。

 国語や算数、理科、社会、体育、音楽、図工など、教科ごとに1~3の評定がつけられていて、「やったー! 3が5個もある~♪」「やったー、3が増えた!」「え~、3が減った~!」と言って、子どもたちは3の数が合計で何個あるかを数えます。子どもが「3」の数に執着する理由は、保護者の期待もあります。通知表を渡す前、子どもたちから次のようなつぶやきが聞こえます。

「3の数が、〇個以上あったら、ゲームを買ってもらえる」
「3の数が、増えていたら、スマホを買ってもらえる」

 3の数が多かったり増えたりしたら、親から何かしら褒めてもらえるのでしょう。わたしも父親として、自分の息子の通知表で3が多かったら褒めます。

 でも、子どもたちの中には3が少なく、ほとんど2の子どももいます。3から2に下がって落ち込む子どももいます。

 そこで、通知表を渡す前に、“2の凄さ”について話します。

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松下隼司
松下隼司

1978年生まれ。奈良教育大学卒業。大阪の公立小学校に勤める現役教師。2児の父親。文部科学大臣優秀教職員表彰を受賞。令和6年版教科書編集委員を務める。著書に絵本『せんせいって』(みらいパブリッシング)、『ぼく、わたしのトリセツ』(アメージング出版)、教育書『むずかしい学級の空気をかえる 楽級経営』(東洋館出版社)、『教師のしくじり大全 これまでの失敗とその改善策』(フォーラムA企画)などがある。教師向けの情報サイト「みんなの教育技術」で連載を持つほか、Voicy「しくじり先生の『今日の失敗』」でパーソナリティーを務める。

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