7月26日からパリ五輪が始まり、日本人選手の活躍が日々テレビなどのメディアを中心に報じられているが、今回の五輪で目立つのがアスリートたちの「涙」だ。勝った選手も負けた選手も「泣く」姿がクローズアップされ、競技以上に注目を集めた場面も少なくない。
【写真】プロ野球でも先日「涙」が話題に 大きく報道された選手がこちら
競泳の池江璃花子、卓球の早田ひな、バレーボールの古賀紗理那、西田有志など多くの選手の「涙」が話題となったが、最も注目を浴びたのが柔道の阿部詩だ。パリでは東京からの2連覇が期待されたがまさかの2回戦敗退。試合後にコーチの胸に顔をうずめて泣きじゃくる姿が日本中に伝えられた。
「東京五輪金メダリストで優勝候補筆頭だった。敗戦にも驚いたが、他競技を含め会場内であれだけ取り乱した選手は見たことがない。余程の思いを持って今大会へ挑んでいたことが伝わってきた」(在京テレビ局スポーツ担当)
あまりの号泣ぶりに同情する声も多かった一方、「見苦しい」「試合の進行を妨げている」など、阿部詩の行動には賛否両論が巻き起こった。
元宮崎県知事の東国原英夫氏は「勝っても負けても礼節を重んじて取り乱さない。心技体が問われる」とコメントするなど、毅然とした態度をとるべきだったという意見もあった。
「東国原氏の指摘はごもっともだが、海外選手でも涙を見せる選手は増えている。時代が変わり世界的に礼節の在り方も変化している。涙を流すことでの批判や誹謗中傷を本人が気にかけないのなら、問題ないのではないか」(在京テレビ局スポーツ担当)
「柔道は今でも日本のお家芸。代表選手は勝利が求められ、様々な重圧と闘い続けている。阿部選手も当然同じで、敗戦に対する大きな責任を感じたのだろう。心からの叫びであり、周囲が受け止めてあげて次に進めるようにしてあげたい。負けたことへの言い訳としてだけでは、あそこまで号泣できない。『(阿部詩が)会場内で号泣したのはマナーや礼儀に欠ける』と言う人もいる。そういう人には『同じ苦労を味わってほしい』とも思う」(柔道連盟関係者)