8月に入ったが、主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした1日からの飲食料品の値上げは642品目。9月以降は冷凍食品やハム・ソーセージ製品、清涼飲料水を中心とした缶・PET飲料、ビール類以外の酒類、アイスクリーム・氷菓製品、パックごはんなど、幅広い品目で値上げが予想されている。そんな値上げの夏、もう一度読みたい、人気経済評論家・勝間和代の過去の人気記事を振り返る(「AERA dot.」で2021年5月6日に配信した記事を再編集したものです。本文中の年齢等は配信当時)。
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経済評論家であり、ここ数年は調理家電や時短家電を使った「ロジカル家事」の著書でも大人気の勝間和代さん。「AERA Money 2021春号」の連載「人生を幸せにするお金のレシピ」から一部抜粋してお届けする。
こんにちは、勝間和代です。今回は地位財、非地位財について書きます。
私たちはさまざまな製品やサービスを得るためにお金を払います。
そのときに持ってほしい視点が、「その製品やサービスは、他人からうらやましいと思われることにより幸せな気分になるものか、それとも純粋に自分が幸せになれるものなのか」ということです。
他人からうらやましいと思われるほうは「地位財」。割高なブランド品や高級外車、立派な自宅、血統書付きのペットなどがそれにあたります。平たく言うと間接的なマウンティングにより自分を幸せにしようとするものです。
一方、健康な体、仲のいい家族関係や友人関係、自分が設計したバックパック旅行、誰も評価しないけれども自分にとっては大切な趣味の時間など、人との比較ではなく自分の充実を基準にして幸せを得ようとする財産のことを「非地位財」と定義されています。
これは、コーネル大学教授のロバート・H・フランク氏が『幸せとお金の経済学』(フォレスト出版)という著書の中で提唱した概念です。
さまざまな見栄を張るような形でのお金の使い方は幸せが長続きしないが、自分の充実のために使うお金は幸せが永続するという研究成果を発表したのです。
私もその視点には全面同意です。たとえばペットを飼うとき、血統書付きであれば最低でも数十万円以上のお金がかかります。保護猫をもらうと去勢費用やワクチンなどの実費のみになります。
私と一緒に住んでいるあおちゃん、ちろちゃんは後者です。美しい純血種の猫はインスタ映えもするでしょうが、2匹の猫がくれる喜びは、お金では到底得られないものです。
洋服を買うときにも、人から見て見栄えがする、わかりやすいブランド品が本当に必要かを考えましょう。