ただ、リリーフに配置転換以降は状況が好転してきた。救援に回って初登板となった7月15日のドジャース戦は3回2/3で5奪三振無失点の快投。安打は大谷翔平(ドジャース)に浴びた遊撃強襲内野安打の1本のみだった。
「大谷との対戦の時、今季自己最速の94マイル(151.4キロ)を計測しました。先発の時は立ち上がりから飛ばそうと思っても、試合を作るためにペース配分を考える意識があります。前田の持ち味である大胆さが影を潜めてかわす投球になっていたが、リリーフで思い切り腕を振ることで、ストライクゾーンで勝負できる直球の力強さを取り戻している。この投球を持続できれば、先発に復帰しても大崩れすることはないでしょう」(メジャーを取材する通信員)
今季の成績は19試合登板で2勝5敗、防御率は6.72。タイガースは先発陣が充実していると言えない。救援で好投を続ければ、残りのシーズンで先発に再復帰する可能性が十分にある。
とはいえ、気になるのは来オフの去就だ。来季でタイガースとの契約が終わり、メジャーでプレーして10年の区切りともなる。37歳という年齢になることを考えると、日本球界復帰が現実味を帯びる。大きな故障がなく、メジャーで現在見せている投球を続ければ、複数球団の争奪戦になることは間違いないだろう。
スポーツ紙デスクは「広島復帰が最有力になるでしょう」と、広島にいる2人の存在が決断の決め手になるだろうと話す。
「1人目は新井貴浩監督です。現役時代に前田と共にプレーしており、強い信頼関係で結ばれています。広島は先発ローテーションが充実していますが、前田が復帰すればチームに大きな影響力を与える。他の投手陣の手本になるし、励みになるでしょう」