
週に1度は観ないと気が済まないプロレスですが、20年前は総合格闘技観戦にハマっており、プロレスには見向きもしませんでした。どちらかと言えば苦手でした。
我ながら、驚くほどの変化。苦手なものを好きになるには勇気が必要だと思っていましたが、そうでもなかったようです。嫌がっていたのにケロリと好きになるなんて、恥ずかしいとすら思っていたのに。
では、なぜ? 人から勧められて変わった場合もあれば、自分から近づいていったものもある。唯一の共通点は、自分の苦手意識に固執しなかった点でした。
「私ってこういう人間だから」に囚われていた時期は、私にも少なからずありました。苦手意識は自分を守る鎧だとさえ思っていました。不得手を楽しめない自分に対峙するにはエネルギーが必要です。私はそれをしたくなかった。
そこから脱せたのは、なにより加齢のおかげ。執着力が衰え功を奏したのでしょう。加齢ってやっぱり、悪くないなと思った次第です。
※AERA 2024年8月5日号