オーストラリアに拠点を移してからは、その思いは消えないどころか、さらに強くなったことだろう。師事するマイケル・ボール・コーチの元には、エマ・マッキーオン(オーストラリア)といった世界チャンピオンが多く集っているだけに、練習の内容も、そこに立ち向かう心も全員が世界レベルで強かった。そこに身を置けるようになった自分が、うれしかったからはずだから。
だからこそ、このパリ五輪でもう一度世界で活躍できることを証明したかったのだ。その思いが力みとなり、結果として池江をさらに苦しめる結果となってしまった。
池江は、100mバタフライ準決勝レースの翌日、自分のInstagramのなかで、決意を記した。それを、24時間で消えるストーリーズで公開したことにも、池江の気持ちが表れているのかもしれない。
「4年後、リベンジしに帰ってきます。みなさんたくさんのご声援ありがとうございました。気持ちの切り替えには時間がかかると思うけど、しっかり自分と向き合って行きたいと思います」
いずれにせよ、池江は歩みを止めるつもりはない。ならば、私たちは彼女の辿る道程を見届けるだけだ。きっと彼女は、毎年新しい池江を見せてくれるはず。それが、心から楽しみでならない。(文・田坂友暁)
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