パリ五輪の個人種目では決勝進出を逃した池江璃花子
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「4年後、リベンジをしに帰ってきたい」

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 このコメントが、池江璃花子にとってのパリ五輪という大会のすべてである。

 3年前、本人ですら出場できると思っていなかった東京五輪。あのときは、五輪という世界最高峰の舞台に立つだけで良かった。なぜなら、ずっとパリ五輪での復活をひとつのゴールにしていたからだ。

 ずっと願ってやまなかった舞台。『ここで戦うんだ』という強い意志と目標、そして夢があったから、彼女はどんなに苦しい練習も、辛いレースも乗り越えてきた。

 待ち望んだパリ五輪初日、女子100mバタフライ予選4組。3月の国際大会代表選手選考会をともに戦った高校生の平井瑞希とレースに臨む。前半、大きな泳ぎは健在ではあったが、どこか硬さが残る。後半、残り25mを過ぎたところから少しずつ失速してしまい57秒79でフィニッシュ。タイムを見つめる目は、少し厳しさをおびていた。

「すごく緊張していて、その緊張からくる身体の動かなさだな、と感じたので、前半から力まず落ち着いていこう、と泳ぎました。ただ、タイムを見て遅くて驚きました」

 リラックスしようとしていたのが、裏目にでてしまった形だ。それは池江自身も分析できていたから、修正すべき点も分かっている。

「覚悟を持って準決勝に臨みたい。五輪という特別な緊張はありますけど、それを自分の力に変えて泳ぎたい。やるべきことをやれば、タイムはついてくると思うので」

 しかし、待っていた現実はあまりにも厳しかった。

 予選上位16人を2組に分けて行われる準決勝。その1組目に登場した池江は、入場から笑顔を見せようとしていたが、表情が硬い。何度か大きく息を吐くが、肩に力が入っている様子がうかがえる。

『絶対に、決勝で泳ぐんだ』

 強過ぎる思いは、前半の泳ぎから伝わってきた。池江にしてはめずらしいほど、泳ぎのテンポが速い。力が入っているのは見てとれた。50mを26秒36の3番手で折り返す。池江本来の泳ぎであれば、余裕を持った前半のタイムだったが、力みが彼女の体力を必要以上に奪っていた。後半、75mを過ぎたところから池江らしい伸びがなくなっていき、苦しさが伝わってくる。それでも、1ストロークごとに『まだいける、まだいける』と言い聞かせるようにして、泳ぎ、進んでいく。

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東京五輪が終わってから、池江は明らかに変わった