「286万円」が記載された大石知事の後援会の政治資金収支報告書

 そこでは、後援会が県議の後援会から貸し付けを受けたことについては、
〈違法ではないものの政治資金規正法の規定上、誤解を与えかねない会計処理であった〉
 として、〈6月中に収支報告書の訂正〉を行うと表明した。

 また、間違った会計処理をしたのは、〈選挙コンサルタントの誤った指導〉があったためとして、286万円は「貸付」ではなく「寄付」であったこと、7万円余の利子は返還されることを確認した、とも記載している。

 だが、この286万円は不自然な流れで知事側に渡ったことがわかり、「迂回献金」疑惑が生じている。

 大石知事が286万円を受け取った県議が代表を務める自民党長崎市第八支部に、県内の医療法人など9団体が知事選直前の2月15日までに計286万円を寄付していた。そして、2月18日に同支部が、この県議の後援会に286万円を寄付し、同日、県議の後援会から大石知事の後援会に286万円が送金されていた。

 このことから、286万円は医療法人などから大石知事への「迂回献金」だったのではないか、と識者らが指摘した。政治資金規正法は、候補者の後援会に対して企業や団体が直接献金をすることを禁じている。一方で、政党支部への企業・団体献金は可能なので、政党支部を迂回して、大石知事に献金をしたのではないか、という疑惑だ。

 実際、朝日新聞によると、2つの医療法人は、「自民党への寄付ではなく、大石氏の後援会への寄付だった」と取材に認めたという。大石知事側が違法性を認識していたのかが問題になっている。

 そして大石知事は、6月28日になると、「訂正には時間がかかる」と、6月中に収支報告書の訂正はできなくなったと表明。その理由として、
「後援会の口座から私の承認なく、多額の出金(約460万円)がなされており、監査業務を行っていた者に渡った可能性がある」
 と新たな政治資金がらみのスキャンダルがあることも明らかにした。

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