また、ベルクでは昨年9月から髪形とネイル、今年2月からはヒゲについて、「お客様に恐怖感を与えない」「衛生上、また安全面で問題がない」をクリアする条件で、身だしなみの基準を緩和、自由化した。
ここ数年、他業種から転職してくる社員の中には、厳格なスーパーの身だしなみ基準に違和感を覚える人が増えてきているという。人事教育部次長の大島敦さんはこう話す。
「若い世代を中心にスタイルの多様化が進む中、個性尊重への対応ができていなかった。ただ、接客が良くなければ『金髪だからその程度』という評価にも転じかねない。身だしなみを緩和したからこそ素敵な接客ができている。そう評価されることをめざしています」
イスの設置も身だしなみ緩和も、背景にはもう一つ大きな理由がある。働き手不足だ。
「身だしなみ基準緩和で、退職を考えていた若い従業員が『であればこのまま続けます』となった例もありました。アルバイトやパートの方の定着や、従業員応募へのハードルを下げるため、も狙いとしてはあります」(大島さん)
(編集部・小長光哲郎)
※AERA 2024年7月29日号より抜粋