27年頃から急激に減少
日本全体の労働需要は今後穏やかに増加していく一方、労働供給の不足は30年に341万人余、40年に1100万人余に膨らむ。その過程は今後数年の踊り場状態を経て、27年頃から急激な減少局面に入る見通しだという。私たちはあと数年で、今よりもさらに痛烈に「働き手不足」を実感することになりそうだ。
ではどうすればいいのか。シニア層や女性を含めた日本の労働力率は主要先進国の中ですでに高水準にある。外国人労働者の受け入れも日本の経済的地位の相対的な低下を考えれば、有効な解決策とは言い難い。古屋さんはこう指摘する。
「5年後、10年後の東アジアで起こる中国や韓国、オーストラリア、シンガポールなどとの外国人の若者獲得競争に日本が容易に勝てると思っているのであれば、それは過去の成功体験を引きずる幻想と言わざるを得ません」
日本の労働供給は現時点ですでに「パツパツな状態」であることを念頭に、根本的なパラダイムシフトを起こすような解決策が求められている。その上で、古屋さんが挙げるのがロボットやAIなどの先端技術を活用する「機械化・自動化」の徹底的な推進。さらには、「ワーキッシュアクト」という概念だ。
「本業の労働・仕事以外で何らかの報酬を得るために、誰かの何かを担う性質がある活動を指します」(同)
ワーキッシュアクトの普及は企業のサポートが大きく寄与するという。例えば、社員のボランティア支援制度や社員間交流の支援制度、目的を問わない長期休暇制度、副業・兼業を認める規定などを通じて、企業は個人のワーキッシュアクトをサポートできる。つまり、企業には「働き手を職場で独占しない」ことが求められている。