神宮球場での登板後、汗をぬぐう阪神の岩崎優投手
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 日本各地で猛暑が続く。この暑さが、プロ野球のペナントレースの行方に影響を及ぼしかねない状況になっている。

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 気象庁の観測によると、昨年の夏は1898年に統計を取り始めてから最も暑かったという。地球温暖化による影響もあるだろう。今年も全国各地で最高気温35度以上の猛暑日が続いている。

 心配なのが熱中症だ。熱中症は高温多湿な環境で、発汗による体温調節機能が働かなくなり、体内に熱がこもった状態を指す。初期症状として大量の発汗、めまい、筋肉痛などがあり、中等症になると頭痛、吐き気、嘔吐など、重症時には意識障害などが起こり命を落とす危険もある。日本スポーツ協会は湿球黒球温度(WBGT、暑さ指数)を基準にして熱中症予防の運動指針を示しており、WBGT28(気温の目安31度)以上は「激しい運動は中止」、WBGT31(気温の目安35度)以上は「運動は原則中止」と定めている。

 とはいえ、プロ野球が暑さで中止になることはない。日本スポーツ協会の運動指針がプロのアスリートにも一概に当てはまるものではないが、デーゲームはもちろん、猛暑の日はナイターでも、グラウンドにいる選手たちには過酷なプレー環境となっている。

「すべての球団がドーム化を検討すべき」

 プロ野球の元トレーナーは「ナイターでも夏の屋外球場でプレーするのは危険です。一昔前と違い、夜になっても気温が下がらず湿度も高い。人工芝は天然芝や土に比べて吸収した熱をため込みやすい。水を撒いてもすぐに蒸発するので、気温が下がるのは一時的です。夜でも体感温度が35度を超える感覚で、高いビルに囲まれて風通しが良いとは言えない球場があります。選手の体調を考えると、すべての球団で開閉式を含めて本拠地のドーム化を検討すべきです」と警鐘を鳴らす。

 青空の下で観戦できる屋外球場は開放感があり、ドーム球場にはない魅力がある。ただ、選手が暑さによるコンディション不良でグラウンドに立てないならば本末転倒だ。実際に今年に入って、熱中症とみられる体調不良で試合途中に交代する選手が続出している。

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熱中症とみられる症状で体調不良が続出した試合も