山田千穂『ずるい聞き方――距離を一気に縮める109のコツ』(朝日新聞出版)
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 日常的にそうしたことを考えているなかで、自分の意見が生まれる根っこの「軸」ができていきます。

 私は109時代に長年抱えていたコンプレックスを乗り越えるために自分と向き合い、自己理解を深め、自信を持てたおかげで、自分の軸を持つことができました。

 心に刺さった出来事や人から聞いた話なども含めて、こうしたことを高校、大学時代はノートに、社会人になってからはスマホのメモ機能に書きためています。習慣にすることで、意識的に考える時間を持てますし、整理することもできるので、書いてみることはオススメです。

 この積み重ねのおかげで、お客さまからアドバイスを求められたときも、ただ売るためのその場しのぎの言葉ではなく、相手の個性やメリットを考える自分軸のアドバイスをすることができました。

 洋服のことに限らず、仕事や恋愛の相談もよく受けましたが、「私だったらこう考える」と1つの意見として(ハッキリと)伝えていました。

 記者は基本、相手の話を聞くことに徹します。頼まれてもいないアドバイスをしないことは大前提ですが、109のお客さまには具体的な意見を求めてくる人が多かったのです。

「私の洋服のテイストに合うのはどっち?」「デートに着ていくならおすすめは?」と聞かれたときには、その要望に応えるのも大事だと思いアドバイスしていました。

 周囲に流されて決めてしまったけど、自分の意見は何だったのだろう? 私はこの件で何を大事にしたかったのかな? そんなふうに日ごろから自分に向き合い、自己理解を深める時間をとってみる。そして書いてみる。すると自分の軸が固まっていくのを実感できます。

わがままは正直

 記者になるまでやりたいことがコロコロと変わった私は、自分勝手でわがままに見られていた時期がありました。109で働いたあと、経営者にインタビューしたり、学生起業したり、1年間会社員生活を送ってみたり、ライター業やイベントの司会をやってみたり……。

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