朴被告

自殺か他殺か 被告側/検察側の主張は?

 朴被告の妻・佳菜子さんの死をめぐり、被告側と検察側の主張は真っ向から対立してきた。

 被告側によると、2016年8月9日未明、朴被告が仕事を終え帰宅すると、産後うつを患っていた佳菜子さんが錯乱状態に陥っていた。包丁を手に子どもに危害を加えようとしたため、朴被告は制止しようと1階の寝室でもみあった後、子どもを抱いて2階の子ども部屋に避難。数十分後に部屋を出ると、佳菜子さんは階段の手すりに巻きつけたジャケットに首をかけ、自殺していたという。

 一方、検察側は、被告人は寝室で妻ともみあいになった末に首を絞めて脳死状態に陥らせ、その後、事故死を装うために階段から突き落としたと主張している。

 双方決定的な証拠は認められず、状況証拠の積み重ねによる審議が続いてきた。19年の一審判決に加え、21年の二審判決でも懲役11年の実刑が言い渡された際は、朴被告の友人や母、そして子どもたちも、公正な裁判を求める署名活動を行った。

 22年11月、最高裁がこれまでの審理に「重大な事実誤認の疑いがある」として高裁への差し戻しを決めたことで、再び無罪となる希望が見えた。今年7月に入り、差し戻し控訴審判決の18日が目前に迫ると、朴被告の子どもたちは「あと17日」「あと16日」と指折り数えていたという。しかも、判決日の2日後には夏休みが始まり、さらに数日後には朴被告の誕生日も控えている。

「小学3年生の末っ子は、『パパが帰ってきたら一緒にプールに行く』『ディズニーランドに連れて行ってもらう』なんて楽しみにしていて。上の子たちは、(裁判の結果に)さんざん打ちのめされてきたからか、もう少し冷静ですね。『もし無罪にならなかったら、パパの心は大丈夫かな』と朴のことを気遣っていました」(朴被告の母)

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有罪を言い渡された時の朴被告の様子