銃撃後のトランプ氏を映し出す大画面。共和党全国大会で (写真:アフロ)
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 アメリカ・ペンシルバニア州で起きたトランプ前大統領銃撃事件は、警備態勢のミスが問題になっている。米議会も事実の解明に乗り出す構えだ。大統領など要人警護にあたる「シークレット・サービス(SS)」や地元警察が警戒していた集会で、何故、このような事件が起きたのか。警護に穴はあったのか。テロ対策に詳しい公共政策調査会センター長の板橋功氏に聴いた。

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  トランプ氏の演説台が直線で見通せる、120メートル離れた建物の屋根の上から、トーマス・クルックス容疑者(20)は8発の銃弾を放った。1発はトランプ氏の右耳に当たり、別の銃弾は観覧席にいた消防士の男性に命中。さらに2人が重症を負った。SSが所属する国土安全保障省のマヨカス長官は警護が「失敗」だったことを認めた。

 「明らかにSSのミスですね」
 

 板橋氏は開口一番、こう言った。
 

屋根にSSを立たせておかしくない

 「ライフルだと銃弾が800メートルくらい飛びます。容疑者のいた場所は当然、警戒対象のエリアです。SSの管轄外だったという報道があるようですが、それは驚きです。あの建物の屋根の上も、SSを立たせてもおかしくない場所です。明らかに、あの建物が警護の穴になっていたと思います」

 アメリカのCNNテレビによれば、クルックス容疑者は事件当日の朝、銃砲店で銃弾50発を、ホームセンターではしごを購入していた。銃撃事件に使った銃は半自動小銃だった。

「半自動小銃は引き金を引く必要はありますが、連続して射撃が可能です。周辺の建物や屋根の上は事前に検索し、当日の演説中も常にチェックする必要があります。トランプ氏の警護全体についてはSSが統括しているはずです。地元警察が支援していたとしても、当然、SSに責任があると思いますね」

シークレット・サービスは、アメリカ国内でのテロ攻撃の未然防止、防衛を責務とする国土安全保障省に属する。同省のアレハンドロ・マヨカス長官は「警護は失敗だった」とミスを認める発言をした。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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